産業用カメラでは、フレームレートが高いほど常に良いのでしょうか?
高フレームレートが工業用カメラに必ずしも最適でない理由
品質検査、ロボットガイド、または高速製造などの用途において、適切なカメラシステムの選定は産業分野で極めて重要です。その際、フレームレート(カメラが1秒間に取得する画像数)は性能において極めて重要な役割を果たします。しかし、より高いフレームレートは常に最良の選択肢なのでしょうか?この記事では、工業用カメラにおけるフレームレートの利点とトレードオフについて紹介し、機械ビジョンのニーズに応じた適切な判断方法をお伝えします。
工業用カメラにおけるフレームレートの理解
フレームレートは1秒あたりのフレーム数(fps)で測定され、カメラがどのくらいの頻度で画像を取得するかを決定します。産業用途においては、静的な検査では一般的に15fps程度であるのに対し、ボトル充填ラインなどの高速プロセスでは100fpsを超える場合もあります。高いフレームレートは、高速で動く対象をブレることなく捉え、正確な欠陥検出や追跡を可能にします。ただし、フレームレートはあくまで全体の一部です。解像度、センサーサイズ、処理能力もシステム性能に影響を与えます。これらの要素をバランスよく調整することが、最適なセットアップの鍵となります。
高フレームレートが活躍する場面
高フレームレートは特定のシナリオにおいて非常に貴重です。たとえば、毎秒10メートルの速度で動く包装ラインにおいて、60fps以上のカメラはリアルタイムでの品質検査のために各製品の明確な画像を確保します。半導体検査や高速選別などの用途でも同様に利益があり、迅速なフレームキャプチャにより見逃しのない欠陥検出が可能になります。たとえば、500万画素CMOSカメラで1/1.8インチセンサーが60fpsの場合、十分なディテールを維持しながら高速での作業に対応できます。
高フレームレートの欠点
高フレームレートには利点がある一方で、いくつかのトレードオフもあります。まず、高い処理能力と帯域幅が必要になります。120fpsで5MPのカメラは膨大なデータを生成するため、システムが処理しきれなくなる可能性があるほか、高価なハードウェアのアップグレードが必要になる場合もあります。次に、高フレームレートでは露光時間が短くなる傾向があり、非常に明るい照明を併用しない限り画像が暗くなることがあります。これによりコストが増加します。最後に、高フレームレートは解像度に影響することがあり、一部のカメラでは画素数よりも速度を優先するため、詳細な検査に必要な画像の明瞭さが損なわれる可能性があります。
適切なフレームレートの選び方
最適なフレームレートの選定は、ご使用目的によって異なります。まず被検体の速度と検査要件を評価してください。静止または低速の対象物(例:0.1 m/s)の場合は、解像度を維持しながらコストを抑える観点から15〜30 fpsで十分な場合があります。高速用途の場合には、次の式を使用して必要なfpsを計算してください:fps = 対象物速度(mm/s) ÷ 画角(FOV)幅(mm)。50 mmの画角と200 mm/sの対象物速度の場合、30 fpsで十分です。また、照明、センサーサイズ、処理能力なども考慮し、ボトルネックを避けてください。複数の設定でのテストが最適なバランスを保証します。
結論:適切なカメラ選定を行いましょう
高フレームレートは産業用カメラに於いて、万能の解決策ではありません。高速用途には優れていますが、比例する利益なしにコストや複雑さを増加させることがあります。ご使用目的に応じて速度・解像度・処理能力を理解することで、最適な性能を提供するシステムを選択できます。マシンビジョンのセットアップを効率化したいですか? 無料のカメラ選定ガイドをご覧いただくか、産業用ソリューションに精通した専門家にご相談ください。